2013年5月28日火曜日

本の話1 北森鴻さん

平成22年1月25日、作家北森鴻さんが、心不全により48歳の若さで他界されました。
最も好きな作家の一人だった北森さんの訃報は、悲しいというより信じられない出来事でした。
その時点で、まだ読んでいなかった小説を全て手に入れ、追悼の気持ちを込めて読みました。



北森さんをジャンルで括るとミステリ作家ということになる感じですが、民俗学や骨董、歴史にも造詣が深く、作品の幅が広いです。しかも本格的です。
人柄の良さが、作品ににじみ出ていて、登場人物がみんな魅力的です。
代表作は、どれも大好きなのでなかなか決め難いのですが、ビアバー「香菜里屋」を舞台にした連作短編シリーズでしょうか。「花の下にて春死なむ」「桜宵」「蛍坂」そして完結編となる「香菜里屋を知っていますか」の4巻からなるこのシリーズは、マスターの工藤が客から持ち込まれる謎を解いてゆくミステリなのです。謎解きもさることながら、「香菜里屋」で出される料理とビールが美味そうで、こんな店があったら常連になりたいと思わせます。



他にも、美貌の古物・骨董商「冬狐堂」シリーズや異端の民俗学者「蓮杖那智」シリーズ、博多を舞台にしたテッキ&キュータの「親不孝通り」シリーズ、花師であり絵画修復師「佐月恭壱」シリーズ、実在する京都の寺院、大悲閣を舞台にした「裏京都ミステリー」シリーズ・・・あぁ書ききれない。

未読の小説があと2編残っています。「うさぎ幻化行」と「邪馬台」です。後者は北森さんが執筆中に急逝されたため、浅野理沙子さんが遺志を継いで完結させたお話です。
読んでしまうのがもったいなくて、いまだに買っていません。少し落ち着いたら、自分のご褒美で読もうかな。

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